リース会計に関する公開草案

リース会計に関する公開草案の概要

2010年8月17日に、IASB(国際会計基準審議会)よりリースに関する公開草案が公表されました。現在、リース(公開草案)に対するコメントは、広く一般から2010年12月15日まで受け付けられています。また、コメントの結果を受けて2011年6月にリースに関する基準が公表される予定です。このため、以下に記載した内容は、今後公表予定の基準の内容如何によっては、その内容が変更される可能性があることをご了承ください。

リースの定義及び範囲

 リースに該当するか否かの判断指標は以下の通りです。

  •  契約の履行が、特定の資産又は資産群(原資産)の提供に依存しているか
  •  契約は、合意された期間において特定の資産の使用を支配する権利を移転するか

上記指標に該当するか否かを判断するための、一定の指針もあります。

⇒ 契約形態がリース契約でない賃貸借契約であっても、当該判断指標及び一定の指針に照らして検討すると、リースに該当するものがあります。したがって、企業は、契約がリースであるか、又はリースを含むかどうか、評価する必要があります。

リースに係る会計処理

 総論

  • ファイナンス・リース及びオペレーティング・リースの区分は廃止する
  • 簡便処理が認められる取引は限定的である

借手の会計処理

 契約がリースであるものは、全て「使用権資産」として資産計上が必要になります。

  •  延長又は解約オプション、変動リース料等を踏まえて見積リース期間及び見積リース料支払総額を決定する
  • 当該金額に利子率を適用した割引原価を、リース契約締結日に資産負債計上する必要がある

 貸手の会計処理

 原資産に対する重要なリスク又は便益を留保するか否かにより、会計処理が相違します。

 ⇒ 重要なリスク又は便益を留保するか否かの判断は、延長又は解約オプション、変動リース料等が貸手にとって重要か否かにより判断します。

  1.  重要=留保すると判断した場合(履行義務アプローチ)
    •  延長又は解約オプション、変動リース料等を踏まえて見積リース期間及び見積リース料受取総額を決定する
    •  当該金額に利子率を適用した割引原価を、リース契約締結日に資産負債計上する必要がある
    •  計上した負債は、見積リース期間内において収益へ振替えられ、原資産はそのまま資産計上を継続する
  2.  重要でない=留保しないと判断した場合(認識中止アプローチ)
    •  延長又は解約オプション、変動リース料等を踏まえて見積リース期間及び見積リース料受取総額を決定する
    •  当該金額に利子率を適用した割引原価を、リース契約締結日に一括収益認識する必要がある
    •  原資産のうち借手に移転する部分は、リース契約締結日に一括費用処理する必要あり

     

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