IFRSでは、有形固定資産に関連する基準として、以下の7つの基準があります。
- IAS第16号「有形固定資産」
- IAS第23号「借入費用」
- IAS第20号「政府補助金の会計処理及び政府援助の開示」
- IAS第36号「資産の減損」
- IAS第17号「リース」
- IAS第40号「投資不動産」
- IFRS第5号「売却目的で保有する非流動資産及び非継続事業」
このうち、IAS第16号「有形固定資産」、IAS第23号「借入費用」、IAS第20号「政府補助金の会計処理及び政府援助の開示」 について解説します。
IAS第16号「有形固定資産」の概要
当初認識と取得原価
当初認識と取得原価の測定に関しては、日本基準とほぼ同一です。
当初認識後の測定
IFRSでは、日本基準で採用する原価モデルの他に、公正価値評価が認められています。但し、実際に公正価値評価を採用する例は稀なので、実務上の影響はないと思われます。
減価償却
減価償却について、会計基準上は日本基準と大きく異なるわけではありません。但し、実務上税法基準を採用している場合には影響がありうるため、注意が必要です。
例えば、通常は経済的便益が平均的に消費されると思われる建物や付属設備等に対して定率法を採用している場合は、定額法よりも定率法の適用が合理的であることを証明する必要があります。
開示
日本基準上の開示項目と大幅には相違しません。
IAS第23号「借入費用」の概要
日本基準では、要件を満たす場合は有形固定資産の取得原価に含めても良いとされています。一方、IFRSでは、要件を満たす場合には取得原価に含めなければなりません。但し、当該ケース及びその範囲は限定的であることから、企業の状況に照らして検討する必要があります。
IAS第20号「政府補助金の会計処理及び政府援助の開示」の概要
有形固定資産の取得原価決定、及びその後の減価償却の観点から判断すると、日本基準及びIFRSの間に差異はありません。但し、補助金等の交付を受けた際の収益計上有無、直接減額方式の場合の圧縮損の計上有無、利益処分方式の採用可否について相違があります。