IAS第36号 「資産の減損」の概要
IAS第36号における資産の減損の全体像
減損テストの実施時期、減損の兆候
大枠では日本基準とほぼ同一ですが、主として以下の点で差異があります。
- のれんは、毎期減損テストを実施
- 減損の兆候判定にあたり、「二期連続」、「50%程度以上下落」の明確な数値基準なし⇒数値基準に捉われない兆候判定が必要
回収可能価額の測定
日本基準:減損の兆候ありと判定した場合には、まず割引前将来キャッシュ・フローと帳簿価額を比較
IFRS :当該ステップを踏まず、直接割引後将来キャッシュ・フローと帳簿価額を比較
日本基準では、上記比較の結果減損損失の認識は行わないと判断するものでも、IFRSでは認識する場合があります。
その他は、基準上若干の差異はあるものの、実務上それほど影響があるものはありません。
減損損失の認識及び測定
日本基準と基本的に差異はありません。
のれん及び全社資産等に係る減損処理方法
大枠では日本基準とIFRSでほぼ同一ですが、主として以下の点で差異があります。
全社資産を含む資金生成単位(=資産グループ)の減損を行う場合
日本基準:まず全社資産の帳簿価額から減額
IFRS :全社資産を含む資金生成単位内の資産の帳簿価額に比例按分
のれんについて非支配持分(=少数株主持分)がある場合
日本基準:親会社の帳簿上認識するのれんのみで減損判定
IFRS :少持分ののれんも計算上追加認識したうえで減損判定
減損損失の戻入
日本基準では減損損失の戻入はできませんが、IFRSではのれんを除き可能です。
開示
日本基準上の開示項目に加えて、減損有無に関わりなく毎期のれんの減損判定のために使用した前提等の開示が必要です。