企業会計基準第33号「中間財務諸表に関する会計基準」等の公表について

1.はじめに

企業会計基準委員会(以下「ASBJ」)は、2024年3月22日に企業会計基準第33号「中間財務諸表に関する会計基準」及びその適用指針(以下「本会計基準等」)を公表しました。

2.本会計基準等の目的

2023年11月20日に四半期報告書の廃止等を内容とする「金融商品取引法等の一部を改正する法律」(令和5年法律第79号)が成立し、2024年4月1日以後に開始する四半期から四半期報告書が廃止され、半期報告書の提出が義務付けられることになりました。

本会計基準等は改正後の金融商品取引法に基づき、新たに半期報告書において開示される中間財務諸表に適用される会計処理及び開示を定めることを目的としています。

3.本会計基準等の概要

本会計基準等の適用範囲

本会計基準等は、以下の会社が半期報告書制度に基づき作成する中間財務諸表に適用されます。

  1. 金融商品取引法第24条の5第1項の表の第1号に掲げる上場会社等
  2. 金融商品取引法第24条の5第1項ただし書きにより、同項の表の第1号に掲げる上場会社等と同様の半期報告書を提出する第3号に掲げる非上場会社

なお従来より、特定事業会社(銀行・保険会社等)及び四半期報告書を提出していない非上場会社においては、中間財務諸表の作成が義務付けられていましたが、当該中間財務諸表には引き続き、中間連結財務諸表作成基準、中間連結財務諸表作成基準注解、中間財務諸表作成基準及び中間財務諸表作成基準注解が適用されます。

本会計基準等の基本的な方針

本会計基準が適用される中間財務諸表を含む半期報告書制度の概要は次のとおりです。


  1. 半期報告書では中間会計期間(6か月間)を1つの会計期間とした中間財務諸表を作成する。
  2. 従前の四半期報告書と同様に、中間会計期間終了後、45日以内の政令で定める期間内での提出が求められる。
  3. 「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」及び「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」の改正案は、ディスクロージャーワーキング・グループ報告(「上場企業の半期報告書については、現行と同様、第2四半期報告書と同程度の記載内容とする」)に基づき作成されている。

本会計基準は上記1.の半期報告書制度の概要を前提として、期首から6か月間を1つの会計期間(中間会計期間)とする中間財務諸表に係る会計処理を定めています。

この場合の開発にあたっての基本的な方針として、上記3.の半期報告書制度の概要を前提として、中間財務諸表の記載内容が従前の第2四半期報告書と同程度の記載内容となるように、基本的に企業会計基準第12号「四半期財務諸表に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第14号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」(以下「四半期会計基準等」)の会計処理及び開示を引き継ぐこととしています。

本会計基準等で個別に検討した項目

本会計基準等は、上記の基本的な方針のとおり、中間財務諸表の作成にあたり必要となる会計処理について基本的に四半期会計基準等の会計処理に関する定めを引き継いでいます。

中間財務諸表において期首から6か月間を1つの会計期間(中間会計期間)とすることに伴い差異が生じる可能性がある次の項目については、個別に取扱いを検討し、従来の四半期での実務が継続して適用可能となる取扱が定められています。

  • 原価差異の繰延処理
  • 子会社を取得又は売却した場合等のみなし取得日又はみなし売却日
  • 有価証券の減損処理に係る中間切放し法
  • 棚卸資産の簿価切下げに係る切放し法
  • 一般債権の貸倒見積高の算定における簡便的な会計処理
  • 未実現損益の消去における簡便的な会計処理

4.適用時期等

本会計基準等は、改正後の金融商品取引法第24条の5第1項の規定による半期報告書の提出が求められる最初の中間会計期間から適用するとされています。

よって2024年4月1日以後に開始する事業年度に係る半期報告書において開示される中間財務諸表から適用対象となります。ただし、2024年4月以前に事業年度が開始し、かつ同日以降に第2四半期会計期間が開始する会社(12月・1月・2月決算の会社)に関しては、2024年4月1日以前に開始する事業年度に係る半期報告書から適用対象となります。

適用初年度の取扱い

本会計基準の適用初年度においては、開示対象期間の中間財務諸表等について本会計基準を遡及適用することとされています。

また、本会計基準の適用初年度においては、従来作成していた財務諸表(四半期財務諸表)と異なる種類の財務諸表(中間財務諸表)を新たに作成することになると考えられるため、適用初年度において従前の四半期財務諸表において採用していた会計方針(年度の会計方針との首尾一貫性が求められる会計方針を除く。)と異なる会計方針を採用する場合には、会計方針の変更に該当せず新たに会計方針を採用することになると考えられます。

他の会計基準等における四半期財務諸表に関する取扱い

本会計基準が適用される中間財務諸表においては、これまでに公表された会計基準等で使用されている「四半期会計期間」、「四半期決算」、「四半期財務諸表」、「四半期連結財務諸表」又は「四半期個別財務諸表」という用語(会計基準等の名称を除く)は、それぞれ「中間会計期間」、「中間決算」、「中間財務諸表」、「中間連結財務諸表」又は「中間個別財務諸表」という用語に読み替えることにより、本会計基準等が定めている会計処理及び開示を除き、四半期会計基準等の会計処理及び開示の定めを引き継ぐこととされています。

5.参考資料

本会計基準等の詳細は、以下をご参照ください。
https://www.asb-j.jp/jp/accounting_standards/y2024/2024-0322.html

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