ASBJ「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」の改訂について

1.はじめに

2019年4月15日に企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」)より「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」の改訂が公表されました。

2.日本基準

開発中の会計基準

◆収益認識に関する会計基準
日本基準を国際的に整合性のあるものとする取組みの一環として、2018年3月30日に、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」が公表され、企業会計基準第29号が適用される時(2021年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首)まで(準備期間を含む。)に、収益に関する表示科目や注記事項の定めについて検討することが予定されていました。

(検討状況及び今後の計画)
収益に関する表示科目や注記事項の定めについて、2019年3月より検討を開始し、2019年9月に公開草案を公表することを目標としています。

◆公正価値測定に関するガイダンス及び開示
日本基準を国際的に整合性のあるものとする取組みの一環として、金融商品の公正価値測定に関するガイダンス及び開示について、IFRS第13号「公正価値測定」を踏まえた検討が行われています。

(検討状況及び今後の計画)
2019年1月18日に企業会計基準公開草案第63号「時価の算定に関する会計基準(案)」等を公表し、2019年4月5日にコメントを締め切っています。
現在、公開草案に寄せられたコメントへの対応を検討しており、2019年6月に最終基準化することを目標としています。

◆リースに関する会計基準
日本基準を国際的に整合性のあるものとする取組みの一環として、すべてのリースについて資産及び負債を認識するリースに関する会計基準の開発に向けて、国際的な会計基準を踏まえた検討が行われています。

(検討状況及び今後の計画)
2019年3月に、すべてのリースについて資産及び負債を認識するリースに関する会計基準の開発に着手することを決定しました。開発の目標時期は特に定められていません。

◆「見積りの不確実性の発生要因」及び「関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続」に関する開示
「見積りの不確実性の発生要因」及び「関連する会計基準等の定めが明らかでない場合に採用した会計処理の原則及び手続」に関する開示について、基準諮問会議からの提言に基づき、これらの開示の充実を図ることを目的として検討が行われています。

(検討状況及び今後の計画)
開発の目標時期は特に定められていません。

◆財務諸表を継続企業の前提に基づき作成することが適切であるかどうかの判断規準の 作成
「財務諸表を継続企業の前提に基づき作成することが適切であるかどうかの判断規準の作成」について、基準諮問会議からの提言に基づき検討することが予定されています。

(検討状況及び今後の計画)
開発の目標時期は特に定められていません。

開発中の指針(実務上の取扱いを含む)

◆税効果会計に関する指針
日本公認会計士協会から公表されている税効果会計及び当期税金に関する実務指針について、基準諮問委員会からの提言に基づき、2018年2月にASBJの適用指針等に移管が完了しています。
現在、当該移管後に改めて対応すべきかどうか検討するとしていた論点のうち、法人税等の計上区分(その他の包括利益に対する課税)及びグループ法人税制が適用される場合の子会社株式の売却に係る税効果について検討しています。

(検討状況及び今後の計画)
開発の目標時期は特に定められていません。

◆子会社株式及び関連会社株式の減損とのれんの減損の関係
日本公認会計士協会から公表されている会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」に定められる連結財務諸表におけるのれんの追加的な償却処理について、子会社株式及び関連会社株式の減損とのれんの減損の関係を踏まえ、検討が行われています。

(検討状況及び今後の計画)
2017年10月より検討が開始されていますが、開発の目標時期は特に定められていません。

◆その他、開発中の指針
その他、開発中の指針は以下の通りです。
■実務対応報告第18号の見直し
■金利指標改革に起因する会計上の問題

今後、開発に着手するか否かを判断するもの

◆金融商品に関する会計基準
日本基準を国際的に整合性のあるものとする取組みの一環として、IFRS第9号「金融商品」のうち、金融資産及び金融負債の分類及び測定、金融資産の減損会計及び一般ヘッジ会計について、会計基準の開発に着手するか否かの検討が行われています。

(今後の計画)
会計基準の開発に着手するか否かを決定する前の段階で、適用上の課題とプロジェクトの進め方に関する意見募集を行うため、2018年8月30日に、「金融商品に関する会計基準の改正についての意見の募集」を公表し、2018年11月30日にコメントを締め切っています。

今後、同意見募集に対して寄せられた適用上の課題やプロジェクトの進め方に関する意見を踏まえ、個々の項目ごとに開発に着手するか否かを判断することとしています。目標時期は特に定められていません。

その他の日本基準の開発に関する事項

◆開示に関する適用後レビューの実施
ASBJが開発する会計基準の適正手続(デュー・プロセス)は、公益財団法人財務計基準機構の理事会が定める「企業会計基準及び修正国際基準の開発に係る適正手続に関する規則」(以下「適正手続規則」という。)に規定されており、適正手続規則では、適用後レビューの実施が定められています。
ASBJは、「開示に関する適用後レビューの実施計画」を作成し、2017年12月26日に適正手続監督委員会に報告しています。

(今後の計画)
現在、「開示に関する適用後レビューの実施計画」に基づき適用後レビューの作業が実施されています。目標時期は特に定められていません。

3.修正国際基準

修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)は、IASBにより公表された会計基準及び解釈指針についてエンドースメント手続を実施することにより開発するものです。

(検討状況及び今後の計画)
IASB から公表済みの会計基準及び解釈指針について、エンドースメント手続を実施する時期を検討しています。

4.参考資料

当該計画の詳細は、以下をご参照ください。
https://www.asb.or.jp/jp/project/plan.html

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