企業会計基準公開草案第62号「企業結合に関する会計基準(案)」等の公表について

1.はじめに

企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」)は、平成30年8月21日に以下の企業会計基準及びその適用指針の公開草案(以下合わせて「本公開草案」という)を公表しました。

◆企業会計基準公開草案第62号(企業会計基準第21号の改正案)
「企業結合に関する会計基準(案)」
◆企業会計基準適用指針公開草案第62号(企業会計基準適用指針第10号の改正案)
「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(案)」

本公開草案では、企業結合契約締結後の将来の特定の事象又は取引の結果に依存して対価の一部が返還される場合にも、条件付取得対価に含まれることが明確にされています。
加えて、将来の業績に依存する条件付取得対価においては、対価の一部が返還される場合でも追加的に交付又は引渡しを行う条件付取得対価と基本的に同様の会計処理とすることが提案されています。

また本公開草案の適用指針においては、企業会計基準第7号「事業分離等に関する会計基準」との記載内容の整合性を図り、分割型会社分割のみなし事業年度が廃止されたことに関連する定めを削除する改正が提案されています。

なお、本公開草案のコメント募集期限は、平成30年10月22日までとされています。

2.本公開草案の概要

本公開草案においては、条件付取得対価の会計処理に関して以下の改正が行われています。

条件付取得対価の定義

企業結合契約締結後の将来の特定の事象又は取引の結果に依存して、企業結合日後に追加的に交付される又は引き渡されるもののみでなく、
対価の一部を返還される場合も、条件付取得対価に含まれることが明確にされています。

対価の一部が返還される場合の会計処理

将来の業績に依存する条件付取得対価において、対価の一部が返還される場合の会計処理が明確にされています。

具体的には、条件付取得対価の返還が確実となり、その時価が合理的に決定可能となった時点で、返還される対価の金額を取得原価から減額するとともに、企業結合時ののれん又は負ののれんの金額を再計算し、再計算されたのれんの未償却残高が当初ののれんの未償却残高より小さいときはのれんを減額し、減額されたのれんの金額と減額された対価の金額との差額は損益として処理する方法が提案されています。

3.適用時期等

本公開草案の適用時期について、平成31年4月1日以後開始する事業年度の期首以後実施される企業結合(組織再編)から適用することが提案されています。

なお、本公開草案の適用前に行われた企業結合及び事業分離等の会計処理の従前の取扱いについては、本公開草案の適用後においても継続することとし、本公開草案の適用日における会計処理の見直し及び遡及的な処理は行わないことが提案されています。

4.参考資料

本公開草案の詳細は以下をご覧ください。
https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/exposure_draft/y2018/2018-0821.html

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