「企業結合に関する会計基準」等の改正

基準等の概要

持分プーリング法の廃止などに伴い、「企業結合に関する会計基準」、「連結財務諸表に関する会計基準」、「『研究開発費等に係る会計基準』の一部改正」、「事業分離等に関する会計基準」、「持分法に関する会計基準」、「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」の改正が平成20年12月26日に公表されました。

持分プーリング法の廃止(企業結合会計基準第17 項)

従来、企業結合の経済的実態に応じ、持分の結合には持分プーリング法、取得にはパーチェス法と使い分けられていましたが、会計基準のコンバージェンスの観点から持分プーリング法が廃止されました。したがって、共同支配企業の形成及び共通支配下の取引以外の企業結合はパーチェス法により処理するものとされました。

 株式を取得の対価とする場合の当該対価の時価の測定日(企業結合会計基準第24 項、事業分離等会計基準第13 項及び第34 項、適用指針第38 項)

株式交換等で市場価格のある取得企業等の株式が取得の対価として交付される場合には、取得の対価となる財の時価は、原則として、その企業結合の主要条件が合意されて公表された日前の合理的な期間における株価を基礎にして算定するものとされていましたが、コンバージェンスの観点から企業結合日(又は事業分離日)における時価を基礎として算定することとされました。

 負ののれんの会計処理の変更(企業結合会計基準第33 項、連結会計基準第24 項、持分法会計基準第12 項、適用指針第78 項)

負ののれんが発生した場合には、負債として計上し、20 年以内の適切な期間で規則的に償却するものとされていましたが、負ののれんが発生する場合には、①取得企業は、すべての識別可能資産及び負債が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直す②見直し後でも、負ののれんが生じる場合には、負ののれんが生じた事業年度の利益として処理することとされました。

 少数株主持分の測定(連結会計基準第20 項)

連結財務諸表の作成にあたり子会社の資産及び負債の評価方法として、部分時価評価法と全面時価評価法のいずれかを選択するものとされていましたが、評価方法は全面時価評価法のみとされました。

 段階取得における会計処理(企業結合会計基準第25 項ほか)

取得が複数の取引により達成された場合(段階取得)における被取得企業の取得原価は、従来、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額とされていました。

今回の改正により、被取得企業の取得原価は、個別財務諸表では従来どおり支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額をもって算定するものの、連結財務諸表では支配を獲得するに至った個々の取引すべての企業結合日における時価をもって算定することとされました。この結果、連結財務諸表上の被取得企業の取得原価と個別財務諸表上の取得原価との差額は、連結財務諸表上、当期の段階取得に係る損益として処理することになります。

 在外子会社株式の取得等により生じたのれんの会計処理(企業結合及び事業分離適用指針第 77-2 項)

在外子会社株式の取得等により生じたのれんは、従来、発生時の為替相場(HR)で換算することとされていましたが、在外子会社等の財務諸表項目が外国通貨で表示されている場合には当該外国通貨で把握し、決算日の為替相場(CR)により換算することとされました。

 企業結合により受け入れた研究開発の途中段階の成果の会計処理等(企業結合会計基準第28 項及び第29 項、101項ほか)

企業結合により受け入れた研究開発の途中段階の成果について、従来、取得対価の一部を研究開発費等に配分した場合には当該金額を配分時に費用処理することとされていましたが、この会計処理を廃止されました。

また、従来、被取得企業から受け入れた資産に識別可能な無形資産が含まれる場合には、取得原価を当該無形資産等に配分することができるとされていましたが、当該無形資産が識別可能なものであれば、原則として識別して資産計上するものとされました。

 適用時期

「企業結合に関する会計基準」、「研究開発費会計基準の一部改正」、「事業分離等会計基準」及び「事業分離等会計基準適用指針」

平成22 年4 月1 日以後実施される企業結合及び事業分離等から適用します。ただし、平成21 年4 月1 日以後開始する事業年度において最初に実施される企業結合及び事業分離等から適用することも可能です。

「連結財務諸表に関する会計基準」

平成22 年4 月1 日以後実施される企業結合及び事業分離等に関する会計処理及び注記事項から適用します。ただし、平成21 年4 月1 日以後開始する連結会計年度において最初に実施される企業結合及び事業分離等に関する会計処理及び注記事項から適用することも可能です。

「持分法に関する会計基準」

平成22 年4 月1 日以後実施される非連結子会社及び関連会社に対する投資に係る会計処理から適用します。ただし、平成21 年4 月1 日以後開始する連結会計年度において最初に実施される非連結子会社及び関連会社に対する投資に係る会計処理から適用することが可能です。

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