「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する適用指針」

基準等の概要

本適用指針はこれまで子会社及び関連会社の範囲の決定に関する実務上の指針とされていた監査委員会報告第60号「連結財務諸表における子会社及び関連会社の範囲の決定に関する監査上の取扱い」の内容を引き継いだ上で以下の点について、明確にすることを目的として平成20年5月13日に公表されました。

他の会社等の意思決定機関を支配していないこと等が明らかであると認められる場合(いわゆるVC条項)の明確化(第16 項(4)及び第24 項)

ベンチャーキャピタルなどの投資企業が投資育成や事業再生を図りキャピタルゲイン獲得を目的とする営業取引として投資をする場合、又は銀行などの金融機関が債権の円滑な回収を目的とする営業取引として投資をする場合には、他の会社等の意思決定機関を支配していることに該当する要件を満たしていても、次のすべてを満たすようなときには、財務上又は営業上若しくは事業上の関係からみて他の会社等の意思決定機関を支配していないことが明らかであると認められ、子会社には該当しないことが示されいます。

  1. 売却等により当該他の会社等の議決権の大部分を所有しないこととなる合理的な計画があること
  2. 当該他の会社等との間で、当該営業取引として行っている投資又は融資以外の取引がほとんどないこと
  3. 当該他の会社等は、自己の事業を単に移転したり自己に代わって行うものとはみなせないこと
  4. 当該他の会社等との間に、シナジー効果も連携関係も見込まれないこと

なお、他の会社等の株式や出資を有している投資企業等は、実質的な営業活動を行っている会社等であることが必要です。また、当該投資企業等が含まれる企業集団に関する連結財務諸表にあっては、当該企業集団内の他の連結会社(親会社及びその連結子会社)においても上記2.から4.の事項を満たすことが適当であるとされています。

また、関連会社の判定についても、同様の内容が示されています。

利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれがあるため連結の範囲に含めない子会社及び持分法を適用しない関連会社(第19 項及び第26 項)

連結会計基準では、子会社のうち、連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある会社等は、連結の範囲に含めないものとしています。しかし、一般的にそれは限定的である旨が記載され、具体例が示されています。

また、子会社の場合と同様に、持分法を適用することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある関連会社(非連結子会社を含む。)に対する投資については、持分法を適用しない旨と一般的には限定的である旨が記載されています。

適用時期

平成20 年10 月1 日以後開始する連結会計年度から適用します。本適用指針を適用することにより、これまでの会計処理と異なることとなる場合には、会計基準の変更に伴う会計方針の変更として取り扱います。

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