基準等の概要
平成20年3月21日に「セグメント情報等の開示に関する会計基準」及び「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」が公表されました。
マネジメント・アプローチ
セグメント情報を開示する方法として、国際的な会計基準において採用されているマネジメント・アプローチが採用されました。マネジメント・アプローチによれば、財務諸表利用者が経営者の視点で企業を理解できる情報が開示されると考えられています。
注記事項
企業の実情等に応じて、以下の情報等を注記します。
- セグメント情報
- 報告セグメントの概要
- 報告セグメントの利益、資産、負債及びその他の重要な項目の額
- 報告セグメントの利益、資産、負債及びその他の重要な項目の測定方法
- 報告セグメントに各項目の合計額と連結財務諸表計上額の差異の調整に関する事項
- 関連情報
- 製品及びサービスに関する情報
- 地域に関する情報
- 主要な顧客に関する情報
- 固定資産の減損損失に関する報告セグメント別情報
- のれんに関する報告セグメント別情報
報告セグメントの決定(会計基準10項~16項)
注記の前提として、報告すべきセグメントを決定する必要があります。
手順としては、まず、「事業セグメント」を識別し、「量的基準」、「集約基準」にしたがって、「報告セグメント」を決定します。
事業セグメントの識別(会計基準6 項~9 項)
「事業セグメント」とは、企業の構成単位で、次の要件のすべてに該当するものをいいます。
- 収益を稼得し、費用が発生する事業活動に関わるもの(同一企業内の他の構成単位との取引に関連する収益及び費用を含む。)
- 企業の最高経営意思決定機関が、当該構成単位に配分すべき資源に関する意思決定を行い、また、その業績を評価するために、その経営成績を定期的に検討するもの
- 分離された財務情報を入手できるもの
なお、「最高経営意思決定機関」とは、企業の事業セグメントに資源を配分し、その業績を評価する機能を有する主体のことをいいます。
集約基準(会計基準11項)
識別した「事業セグメント」のうち、次の要件を満たす場合は、複数の事業セグメントを1つにまとめることができます。
- 当該事業セグメントを集約することが、セグメント情報を開示する基本原則と整合している
- 当該事業セグメントの経済的特徴が概ね類似していること
- 当該事業セグメントの次のすべての要素が概ね類似していること
- 製品及びサービスの内容
- 製品の製造方法又は製造過程、サービスの提供方法
- 製品及びサービスを販売する市場又は顧客の種類
- 製品及びサービスの販売方法
- 業種に特有の規制環境(銀行、保険、公益事業等)
量的基準(会計基準12項~16項)
識別した「事業セグメント」のうち、次のいずれかを満たす事業セグメントは「報告セグメント」として開示しなければなりません。
- 売上高がすべての事業セグメントの売上高の合計額の10%以上
- 利益又は損失の絶対値が、①利益の生じているすべての事業セグメントの利益の合計額、又は②損失の生じているすべての事業セグメントの損失の合計額の絶対値のいずれか大きい額の10%以上
- 資産が、すべての事業セグメントの資産の合計額の10%以上
上記の量的基準を満たしていない複数の事業セグメントの経済的特徴が概ね類似し、かつ、一定の条件を満たせば、結合して「報告セグメント」とすることができます。
また、決定した「報告セグメント」の外部売上高合計が損益計算書の売上高の75%未満である場合には、75%以上になるまで「報告セグメント」を追加しなければなりません。
適用時期
平成22 年4 月1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度から適用します。