ASBJ「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」の改訂について

1.はじめに

平成28年12月22日に企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」)より「現在開発中の会計基準に関する今後の計画」の改訂が公表されました。

2.日本基準

開発中の会計基準

◆収益認識に関する会計基準
平成26年5月に国際会計基準審議会(以下、「IASB」)及び米国財務会計基準審議会(以下、「FASB」)から「顧客との契約から生じる収益」(IASBにおいてはIFRS第15号、FASBにおいてはTopic606)が公表されたことを踏まえ、日本基準の体系の整備を図り、日本基準を高品質で国際的に整合性のあるものとする等の観点から、収益認識に関する包括的な会計基準の開発について検討が行われています。

(検討状況及び今後の計画)
平成28年2月4日に「収益認識に関する包括的な会計基準の開発についての意見の募集」を公表し、平成28年5月31日にコメントを締め切っています。現在は、同募集に寄せられた意見や適用上の課題を踏まえ、検討が行われています。
また、IFRS第15号及びTopic606の強制適用日を踏まえ、平成30年1月1日以後開始する事業年度に適用が可能となることを念頭に置き、平成29年6月までに公開草案を公表することを目標として、会計基準の開発が進められています。

開発中の指針(実務上の取扱いを含む)

◆税効果会計に関する指針
日本公認会計士協会から公表されている税効果会計及び当期税金に関する実務指針について、基準諮問委員会からの提言に基づき、必要な見直しを行ったうえで、ASBJの適用指針等に移管することを目的として検討が進められています。

(検討状況及び今後の計画)
税効果会計に関する実務指針のうち、繰延税金資産の回収可能性についてはASBJの適用指針への移管が完了しています。また、連結財務諸表及び個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針等について、適用指針の公開草案の公表に向けた検討を行っていますが、現時点において公表の目標時期は定められていません。また、当期税金に関する実務指針については、平成28年11月9日に公開草案を公表しています(コメント期限:平成29年1月10日)。

◆マイナス金利に関連する会計上の論点への対応
マイナス金利に関する会計上の論点のうち、退職給付債務の計算における割引率について、会計上の取扱いを明確化することを目的として検討を行っています。

(検討状況及び今後の計画)
平成28年12月より検討を開始しており、実務対応報告等の公開草案の公表を経て、平成29年3月までに最終化することを目標として検討を進めています。

その他、開発中の指針は以下の通りです。
◆一括取得型による自社株式取得取引に係る会計処理に関する指針
◆権利確定条件付きで従業員等に有償で発行される新株予約券の企業における会計処理に関する指針
◆公共施設等運営権に係る会計処理に関する指針
◆実務対応報告第18号の見直し

今後、開発予定の会計基準または指針(実務上の取扱いを含む)

開発目標時期は特に定められていないものの、現在、以下の2つの会計基準または指針について検討を行うことが予定されています。

◆「企業結合に関する会計基準」に係る条件付取得対価の取扱い
企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」に係る条件付取得対価の一部が返還される場合の取扱いを検討することを予定しています。

◆子会社株式及び関連会社株式の減損とのれんの減損の関係
日本公認会計士協会から公表されている会計制度委員会報告第7号「連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針」に定められる連結財務諸表におけるのれんの追加的な償却処理について、子会社株式及び関連会社株式の減損とのれんの減損の関係を踏まえ検討することを予定しています。

3.修正国際基準

平成28年9月より、平成26年(2014年)以降にIASBより公表された会計基準等のうち、平成28年(2016年)から平成29年(2017年)に発効される会計基準等を対象にエンドースメント手続を実施しており、平成28年12月6日に修正国際基準公開草案第3号「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)の改正案」を公表しています(コメント期限:平成29年2月6日)。
 
これに続き、以下の基準に関するエンドースメント手続を順次実施する予定です。
◇IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」
◇IFRS第9号「金融商品」(2014年)
◇IFRS第16号「リース」

4.参考資料

当該計画の詳細は、以下をご参照ください。
https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/plan/plan_20161222.pdf

Print This Post