「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する適用指針」

基準等の概要

本会計基準及び適用指針は、会計上の変更及び過去の誤謬の訂正に関する会計上の取扱いを定めることを目的として平成21年12月4日に公表されました。

基準上の分類と会計処理の全体像

基準上の分類 会計上の見積りの変更 会計方針の変更    表示方法の変更 過去の誤謬の変更
皆生方針の変更と区別困難な場合 会計基準の改正に伴う会計方針の変更 その他の正当な理由による会計方針の変更
特定の経過的取扱いあり 特定の経過的取扱いなし
    会計方針の変更と区別困難な場合 会計基準の改正に伴う会計方針の変更   その他の正当な理由による会計方針の変更    
    ex)減価償却方法 特定の経過的取扱い有 特定の経過的取扱い無      
原則的取扱い 遡及適用しない     遡及適用する      
(会計上の見積りの変更として取り扱う) (財務諸表の組替え) (修正再表示)
遡及適用の原則的取扱いが不可能な場合の取扱い 実行可能なもっとも古い時期より適用     特に規定なし
個別財務諸表における一部開示の省略 不可         不可

原則的な取扱い

  会計上の原則的な取扱い
会計上の変更  
会計方針の変更 遡及処理する(遡及適用)
表示方法の変更 遡及処理する(財務諸表の組替え)
会計上の見積もりの変更 遡及処理しない
過去の誤謬の訂正 遡及処理する(修正再表示)

会計方針の変更

・原則的な取扱い(会計基準6項~7項)

会計方針の変更 会計基準の変更に伴うもの 過去の期間のすべてに遡及適用
(経過的な取扱いが定められている場合、これに従う)
その他の変更 過去の期間のすべてに遡及適用

・原則的な取扱いが実務上困難な場合の取扱い(会計基準8項9項)

 過去の情報が収集できないなど原則的な取扱いが実務上困難な場合には、遡及適用が実行可能な時点から新たな会計方針を適用することが求められています。

・注記事項(会計基準10項~12項)

 会計基準等の改正に伴う会計方針の変更の場合とその他の変更の場合に分けて記載内容が定められています。また、既に公表されているが、未適用の会計基準に対しても注記が必要です。

表示方法の変更(会計基準13項~16項)

 表示方法は原則的には毎期継続することが求められますが、会計基準等の改正などによる場合又はより適切な表示のためであれば、変更が認められています。

 表示方法を変更した場合には原則として表示する過去の財務諸表について新たな表示方法に従い組替を行います。その上で変更の内容、理由、金額等を注記します。

会計上の見積もりの変更(会計基準17項~19項)

 会計上の見積もりの変更を行った場合は、遡及修正は行わず変更期以降の会計処理に反映させます。

 また、会計方針の変更を会計上の見積もりの変更と区別することが困難な場合は、会計上の見積もりの変更として扱い遡及修正は行いません。

 会計上の見積もりの変更を行った場合は、変更の内容、影響額等を注記します。

過去の誤謬(会計基準21項~22項)

 過去の財務諸表の誤謬を発見した場合には、修正再表示を行い、誤謬の内容、科目に対する影響額、1株当たり情報に対する影響額などを注記します。

(6)重要性(会計基準35項)

 本会計基準では、すべての項目について財務諸表利用者の意思決定への影響額等をふまえて重要性が考慮されるとしています。したがって、重要性が低いものまで遡及処理することは必ずしも求められていません。ただし、重要性の判断基準は明示されておらず、企業ごとに金額的重要性と質的重要性を考慮した上で、判断基準を設ける必要があります。

適用時期

平成23年4月1日以後開始する事業年度の期首以後に行われる会計上の変更及び過去の誤謬の訂正から適用します。ただし第12項(未適用の会計基準等に関する注記)については平成23年4月1日以降開始する事業年度から適用します。

また、適用初年度においては、当該事業年度の期首以後に行われる会計上の変更及び過去の誤謬の訂正から本会基準を適用している旨の注記が必要です。

Print This Post