1.当基準の適用範囲
当基準は、関連当事者との取引等の識別、開示が必要とされる状況の識別、開示の決定において適用しなければなりません。
当基準では、会社が連結財務諸表に加えて親会社等の個別財務諸表を作成する場合、関連当事者との関係、取引、未決済残高について、 連結財務諸表及び個別財務諸表において開示することを要求している点において、日本基準と異なります。
2.定義
個人及び企業の別に、以下のような状況に該当する場合には、関連当事者であると定義されています。 関連当事者の定義については、日本基準と大きな差異はありません。
個人の場合
個人又は当該個人の近親者が
- 報告企業に対する支配又は共同支配を有している
- 報告企業に対する重要な影響力を有している
- 報告企業又は報告企業の親会社の経営幹部の一員
企業の場合
当該企業と報告企業が
- ともに同一のグループ
- ともに同一の第三者のジョイント・ベンチャー
- それぞれ同一の第三者のジョイント・ベンチャーと関連会社
当該企業又は報告企業が
- 他方の企業の関連会社又はジョイント・ベンチャー
- 他方の企業が一員となっているグループの企業の関連会社又はジョイント・ベンチャー
当該企業が
- 報告企業の個人の関連当事者に、支配又は共同支配されている
- 報告企業を支配する個人の関連当事者に、影響力を保有されている
当該企業又はその親会社において
- 報告企業を支配、又は共同支配する個人の関連当事者が、経営幹部の一員
3.開示
企業が財務諸表の開示対象期間中に関連当事者と取引を行っていた場合は、
- 取引、及び未決済残高(契約を含む)に関する情報
- 関連当事者との関係の内容
について開示しなければなりません。
また、日本基準における重要性による開示基準(数値基準)に該当するものは特に設けられていません。 このため、開示の要否を判断する際には、関連当事者との関係が財務諸表に与える影響を利用者が理解するのに足るかどうかという基準での判断が求められます。
4.政府関連企業の特例
報告企業は、以下の者との関連当事者との取引及び残高(契約を含む)に関する開示を免除されます。
(a)報告企業に対する支配、共同支配又は重要な影響力を有している政府
(b) 同一の政府が報告企業と他の企業の両方に対して支配、共同支配又は重要な影響力を有しているために関連当事者となっている当該他の企業
これは日本基準にはない特例です。