負債(草案)

以下の内容は、2010年2月に公表された「Working DRAFT」を基礎としつつ、その後開催されたIASB会議の内容も反映しています。
負債の概要図

概要

 

負債の認識要件負債の認識要件について、IFRSと日本基準はほぼ同様です。具体的には、以下のとおりです。

  •  負債の定義に当てはまる(以下、「負債の定義」参照)
  •  信頼性をもって測定できる

なお、IFRSにおいては負債の定義に当てはまるか否かの判定を重視しているという特徴があります。

負債の定義

IFRSにおける負債とは、以下の2つの要素を満たすものであるとされています。

  1. 過去の事象の結果として現在の債務を有し
  2. その債務の決済のために、経済的資源の流出が予想されるもの

上記1.の有無に関する判断が困難な場合は、現在の債務が発生している可能性が高い(=50%超)か否かを判断し、高いと判断される場合には、現在の債務を有していると判定することが提案されています。

負債の測定

負債の測定に関して、IFRSでは、債務を履行する為に要求される経済的資源の流出額を算定する際に、

  • 想定されるリスクを考慮する(注1)必要がある点
  • 現在価値を算定(注2)する必要がある点

の2点において日本基準と相違します。

(注)

  1. 想定されるリスクを考慮とは、資源の予想流出額と実際の流出額が異なる可能性があることから、当該リスクから生じる差異部分を負債の金額に反映することです。
  2. 現在価値を算定とは、貨幣の時間価値に関する市場評価、及びその負債固有のリスクを考慮して、割引現価計算を行うことです。

なお、IFRSでは、毎期の報告日の末日において、負債の計上金額の見直し(事後測定)を行う必要があります。

リストラ引当金等、将来の費用に備えて負債計上を行うもの

上記「負債の定義」より、将来実施する予定の事業再編計画等、リストラのために将来発生する費用に備えて引当金を計上することは、現在既に債務が発生している場合を除き、負債(現状では引当金が一般的)として計上することは認められません。

すなわち、取締役会等において当該計画が決定されていること、当該計画を関係者へ告知していること等の事実があっても、他の一般的な未払金と同様、既に債務が発生していない限り、リストラ引当金の計上は行えません。

この点で、日本の会計実務と異なる可能性があります。

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