はじめに
2011年5月12日に、IASB(国際会計基準審議会)よりIFRS第10号「連結財務諸表」、IFRS第11号「共同契約(ジョイント・アレンジメント)」及びIFRS第12号「他の企業に対する持分の開示」の発行に伴い、IAS第28号「関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資」に所要の改訂が行われました。
本基準と日本基準の関係
本基準は、全体的には現行の日本基準と大きな差異はありません。但し、主として以下の点で相違します。
- 会計方針の統一に関する例外的取扱いの有無
- 3ヶ月超の決算日差異の取扱い
- 持分の一部売却により持分法の適用除外になった場合の、残存株式の評価方法
改訂IAS第28号の概要
- 持分法の適用範囲
投資企業は、以下のどちらかにあてはまる場合、被投資企業に対して持分法を適用しなければなりません。- 被投資企業に対して「重要な影響力」を有する(影響力基準)
- 被投資企業を共同支配している
- 「重要な影響力」の判定
- 直接又は間接的に保有する被投資企業の議決権が20%以上~50%未満の場合
投資企業は通常「重要な影響力」を有すると推定されます。 - 直接又は間接的に保有する被投資企業の議決権が20%未満の場合
投資企業は通常「重要な影響力」を有すると推定されません。 - 保有議決権が20%未満であっても、日本基準と同様、重要な影響力を与えていると判定され、持分法適用の対象になる場合があります。
- 直接又は間接的に保有する被投資企業の議決権が20%以上~50%未満の場合
会計処理等
- 会計方針の統一
類似の環境下で行われた取引や事象等については、連結グループ内で採用する会計方針と同一の会計方針を採用する必要があります。 - 決算日の統一
持分法適用会社は、実務上不可能な場合を除いて、連結決算日と同一の日付で財務諸表を作成する必要があります。 - 被共同支配企業に対する重要な影響力を喪失したとき
連結グループが、持分法適用会社に対して重要な影響力を喪失した場合、持分法の使用を停止しなければなりません。また、残存株式がある場合には、当該株式は公正価値により評価を行います。