はじめに
2011年5月12日に、IASB(国際会計基準審議会)よりIFRS第13 号「公正価値測定」が公表されました。
本基準(IFRS)と日本基準との関係
IFRSにおける「公正価値」と日本基準における「公正価値」には、以下のような差異があります。
IFRS
資産:売却時の受取額
負債:他者へ移転させるために支払う額
日本基準
「時価」が公正価値と近似する概念とされます。日本基準における時価は、「出口価格」に限定されていません。
本基準の概要
公正価値の定義
公正価値は、上述のとおり「出口価格」(資産を売却して受け取り、又は負債を移転するために支払うであろう金額)と定義されました。
公正価値の測定上の留意点
- 公正価値の測定の際、資産や負債の特徴は考慮します。
- 一方、企業固有の特徴は考慮しません。
- 測定においては、関連する観察可能なデータ(インプット)を最大限利用し、観察不能なデータ(インプット)の利用を最小限にとどめるようにします。
当初認識時における公正価値
多くの場合、「取引価格=当初認識時の公正価値」です。
公正価値の分類(ヒエラルキー)
公正価値の算定に使用されるデータ(インプット)は、その性質により、以下の3つのレベル(ヒエラルキー)に区分されています。
- レベル1のインプット
測定日において、企業が入手できる活発な市場における同一の資産に関する公表価格であり、最も信頼性の高いインプットです。 - レベル2のインプット
資産について直接又は間接的に観察可能なインプットのうち、レベル1に含まれる公表価格以外のインプットをいいます。 - レベル3のインプット
資産について観察不能なインプットです。レベル1又は2のインプットが入手できない場合のみ使用します。
公正価値の評価技法
観察可能なインプットを最大化し、観察不能なインプットの利用を最小化して、期末の公正価値を見積もるために、下記のような評価技法を用います。
- マーケット・アプローチ
- コスト・アプローチ
- インカム・アプローチ