「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」の改正

改正の概要

平成23年4月12日に、日本公認会計士協会より、「監査・保証実務委員会報告第81号「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」の改正について」(以下、「本指針」という。)が公表されました。

この改正は、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」において減価償却方法や耐用年数の見積りの変更等に関する取扱いの整理が行われたため、所要の見直しが行われたものです。

減価償却方法・耐用年数の見積りの変更等

減価償却の方法の変更

  • 減価償却方法の変更は会計方針に該当し、その変更については「会計方針の変更を会計上の見積りの変更と区別することが困難な場合」として取り扱い、遡及適応は行わないことに留意する必要があります(第10項)。

耐用年数の変更

  • 過去に定めた耐用年数が、これを定めた時点の合理的な見積りに基づくものであり、それ以降の見積りも合理的な見積りによるものであれば、「会計上の見積りの変更」に該当することに留意する必要があります(第15項)。
  • 耐用年数の変更が「会計上の見積りの変更」に該当する場合、変更の影響は、当期及びその資産の残存耐用年数にわたる将来の期間の損益で認識することに留意する必要があります(第16項)。
  • 過去に定めた耐用年数が、その時点での合理的な見積りに基づくものではなく、これを事後的に合理的な見積りに変更する場合には「過去の誤謬の訂正」に該当し、修正再表示することに留意する必要があります(第17、18項)。

残存価額の変更

  • 残存価額の変更が「会計上の見積りの変更」に該当する場合、当該変更の影響は、当期及びその資産の残存耐用年数にわたる将来の期間の損益で認識することに留意する必要があります(第20項)。
  • 残存価額の変更が「過去の誤謬の訂正」に該当する場合、修正再表示することに留意する必要があります(第21項)。

その他

  • 企業会計24号において臨時償却が廃止されたことから、臨時償却の記載が削除されました。
  • 災害、事故等の理由により固定資産の実態が滅失した場合は、「臨時損失」として、その滅失部分の金額を簿価から切り下げます(第22項)。

適用時期

平成23年4月1日以後開始する事業年度に係る監査から適用されます。なお、適用初年度より前の事業年度に行われている会計上の変更及び過去の誤謬の訂正については遡及適用しません。

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