「租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金並びに役員退職慰労引当金等に関する監査上の取扱い」等の改正

改正の概要

平成23年3月29日、日本公認会計士協会より、「監査・保証実務委員会報告第42号「租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金並びに役員退職慰労引当金等に関する監査上の取扱い」等の改正について」が公表されました。

この改正は、企業会計基準第24号「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」等の適用に対応するために、以下について所要の見直しが行われたものです。

改正された取扱い等

  • 監査・保証実務委員会報告第42号「租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金並びに役員退職慰労引当金等に関する監査上の取扱い」
  •  監査・保証実務委員会実務指針第61号「債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い」  
  • 監査・保証実務委員会実務指針第63号「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」 
  • 監査・保証実務委員会報告実務指針第77号「追加情報の注記について」
  •  監査・保証実務委員会報告実務指針第78号「正当な理由による会計方針の変更等に関する監査上の取扱い」

 主な改正内容

「租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金並びに役員退職慰労引当金等に関する監査上の取扱い」

適用初年度の期首に計上すべき役員退職慰労引当金の過年度相当額を、特別損失に計上できる等の経過規定が削除されました(第4項(2)、(3))。

「債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い」

債務保証損失引当金計上後に判明した引当額の過不足は、企業会計基準第24号及び適用指針に基づいて処理することが明記されました(第4項(4) ①)。

「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」

法人税等の更正、決定等による追徴税額及び還付税額

企業会計基準第24号第55項(会計上の見積りに関する原則的な取扱い)及び適用指針に基づいて処理す ることが明記されました。なお、これらが過去の誤謬に起因するものでない場合には、損益計算書上、「法人税、住民税及び事業税」の次にその内容を示す名称を付した科目をもって記載します。ただし、これらの金額の重要性が乏しい場合には、「法人税、住民税及び事業税」に含めて表示することができます(第2項(1)④)。

利益に関連する金額を課税標準とする事業税以外の事業税の更生、決定等による追徴税額及び還付税額

企業会計基準第24号第55項(会計上の見積りに関する原則的な取扱い)及び適用指針に基づいて処理することが明記されました(第2項(2))。

事業所税の更生、決定等による追徴税額及び還付税額

企業会計基準第24号第55項(会計上の見積りに関する原則的な取扱い)及び適用指針に基づいて処理することが明記されました(第2項(3))。

「追加情報の注記について」

従来、会計方針の記載に併せて注記すべき追加情報とされていた「会計上の見積りの変更」及び「会計処理の対象となる会計事象等の重要性が増したことに伴う本来の会計処理への変更」は、企業会計基準第24号及び適用指針に基づき対応することとなるため、今回の改正で削除されました(第2項、第3項(1)①、②)

「正当な理由による会計方針の変更等に関する監査上の取扱い」

会計方針の変更の分類

「複数の会計処理が認められている場合の会計処理の変更」及び「表示方法の変更と会計方針の変更」が削除され、「会計基準等の改正に伴う会計方針の変更以外の正当な理由による会計方針の変更」が追加されました(第4項)。

変更の適時性

会計方針の変更のための正当な理由があるかどうかの判断に当たっては、なぜ当該事業年度において会計方針を変更しなければならないのか(変更の適時性)についても、留意することとされています(第8項(5))。

適用時期

平成23年4月1日以後開始する事業年度から適用されます。

なお、「租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金並びに役員退職慰労引当金等に関する監査上の取扱い」、「債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取扱い」及び「諸税金に関する会計処理及び表示に係る監査上の取扱い」については、運用初年度より前の事業年度に行われている会計上の変更及び過去の誤謬の訂正については遡及しないことに留意する必要があります。

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