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改正企業会計基準第27号「法人税等に関する会計基準」等の公表について

Posted At 2026年9月11日 @ 1:48 PM In 企業会計 | Comments Disabled

1.はじめに

企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」)は、2026年7月7日に改正企業会計基準第27号「法人税等に関する会計基準」等を公表しました。

改正前の企業会計基準第27号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」(以下、「改正前基準」)は、具体的な税金を挙げて、当該税金について規定する税法を参照することにより適用対象となる税金を特定して会計処理及び開示について定めていました。そのためこれまでASBJは、個別の税金が創設される都度、基準の改正を行ってきました。

この点について、ASBJは2024年11月の公開草案「2024年年次改善プロジェクトによる企業会計基準等の改正(案)」の公表時に、法人税等会計基準の適用対象となる税金について、原則的な定めを置き具体的な税金を特定しない方法に見直すことについて、市場関係者からコメントを募集したところ、概ね支持するコメントが寄せられました。

またASBJは、令和7年度税制改正において防衛特別法人税が創設されることを受け、2025年2月に補足文書「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」を公表しました。この補足文書では、税制改正法案の成立後、防衛特別法人税の創設に対応した会計基準等の改正を行う予定であるとしていました。
新たな税金の創設に対応した会計基準等の改正を行う場合、改正前基準の適用対象となる税金の定め方に従えば、法人税等会計基準に個別の定めを追加することとなり、現行の税制改正のスケジュールに鑑みると、税制改正から適用までの短期間で会計基準等の改正を行う必要があります。

このような状況を踏まえ、ASBJは、法人税等会計基準等の適用対象となる税金を定める方法の見直しを行うこととし、2025年5月より、法人税等会計基準の適用対象となる税金に関する原則的な定めを置くことに関して審議を開始し、企業会計基準第27号の名称を「法人税等に関する会計基準」(以下、「改正基準」)と改称したうえで公表されたものです。

2.改正基準等の概要

1.目的及び範囲

改正基準では、国際的な会計基準における法人所得税の定義等を参考にし、主として法人税その他の課税対象利益を基礎とする税金に関する会計処理及び開示を定めています。

加えて、改正前基準から適用範囲を変更しないことを求める意見もあったため、改正前基準において取り扱われていた、住民税(均等割)、事業税(付加価値割)、事業税(資本割)並びに受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税等に関する会計処理及び開示についても適用範囲に含められています。

さらに、在外支店等の財務諸表は親会社又は国内子会社の個別財務諸表に取り込まれ、在外支店等の利益は親会社又は国内子会社の個別財務諸表に計上されることから、親会社又は 国内子会社の在外支店等が所在地国の法令に従い納付する税金で課税対象利益を基礎と する税金に該当するものは、改正基準の適用対象となります。他方で、親会社及び国内子会社が外国の法令に従い納付する税金の中には、我が国の法人税法等における外国税額控除の対象となるものがあるため、親会社及び国内子会社が外国の法令に従い納付する税金で課税対象利益を基礎とする税金に該当しないものについての定めが置かれています。

2.用語の定義

改正基準では、次のとおり用語の定義が行われています。

  1. 「課税対象利益」とは、課税当局の定めに従って算定された特定の事業年度の利益であり、当該利益を対象として税金が課されるものをいう。
  2. 「課税対象利益を基礎とする税金」とは、課税対象利益を基礎として、課税当局の定めに従って算定された税金及びその付加税をいう。

なお、改正基準等と同日に公表された補足文書「我が国における課税対象利益を基礎とする税金及び税効果会計における税率に関する取扱いについて」において、我が国における課税対象利益を基礎とする税金が列挙されています。
具体的には、法人税・地方法人税・防衛特別法人税・特別法人事業税のうち基準法人所得割額・住民税(法人税割)・事業税(所得割)が該当します。

3.会計処理

■課税対象利益を基礎とする税金の会計処理

改正基準では、当事業年度の課税対象利益を基礎とする税金については、「納付済みの額に納付予定の額を加算した額を、法令を適用して算定し、損益に計上する」とされています。

■課税対象利益を基礎とする税金に該当しないものの会計処理

改正基準では、課税対象利益を基礎とする税金に該当しないものの会計処理は、以下のように定められています。

(ア) 住民税(均等割)・事業税(付加価値割)及び事業税(資本割)の会計処理
住民税(均等割)、事業税(付加価値割)及び事業税(資本割)については、「法令を適用して算定した額を損益に計上する」こととされています。

(イ) 受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税等の会計処理
受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税等の額については、「損益に計上する」こととされています。

(ウ) 親会社及び国内子会社が外国の法令に従い納付する税金で課税対象利益を基礎とする税金に該当しないものの会計処理
親会社及び国内子会社が外国の法令に従い納付する税金で課税対象利益を基礎とする税金に該当しないものの額については、「損益に計上する」こととされています。

4.開示

■課税対象利益を基礎とする税金の開示

改正基準では、課税対象利益を基礎とする税金の額は、損益計算書の税引前当期純利益(又は損失)の次に、「法人税等」などの適切な科目をもって表示することとされています。

改正前基準では、「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目をもって表示するとされていたため、表示科目の名称が変更となることに留意が必要です。

■課税対象利益を基礎とする税金に該当しないものの開示

改正基準では、課税対象利益を基礎とする税金に該当しないものの開示は、以下のように定められています。

(ア) 住民税(均等割)・事業税(付加価値割)及び事業税(資本割)の表示
改正基準では、住民税(均等割)、事業税(付加価値割)及び事業税(資本割)の表示については、改正前基準と異なり、「法人税等」に含めずその内容に応じた適切な表示区分に表示することとされています。

改正前基準では、住民税(均等割)は原則として税引前当期純利益(または損失)の次に「法人税、住民税及び事業税」等の適切な科目をもって表示することとしていたため、表示区分が変更となります。
また事業税(付加価値割)および事業税(資本割)は原則として販売費および一般管理費として表示することとしていたため、従来と異なる区分に表示することが適切となる可能性があります。

(イ) 受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税等の表示
改正前基準では、受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税のうち法人税法等に基づき税額控除の適用を受けない税額は、損益計算書の営業外費用として表示することを原則としていました。改正基準では、受取利息及び受取配当金等に課される源泉所得税等の額を税額控除の対象となる税額と対象とならない税額とに区分し、それぞれ以下の取扱いとすることとしているため、従来と異なる区分に表示することが適切となる可能性があります。

〇税額控除の対象となる税額
(1) 税額控除を選択する場合、損益計算書の「法人税等」に含めて表示する。
(2) 税額控除を選択しない場合、損益計算書の「法人税等」に含めず、その内容に応じた適切な表示区分に表示する。
〇税額控除の対象とならない税額
損益計算書の「法人税等」に含めず、その内容に応じた適切な表示区分に表示する。

(ウ) 親会社及び国内子会社が外国の法令に従い納付する税金で課税対象利益を基礎とする税金に該当しないものの表示
改正前基準では、外国法人税のうち法人税法等に基づき税額控除の適用を受けない税額は、その内容に応じて適切な科目に表示するとしていました。改正基準では、親会社及び国内子会社が外国の法令に従い納付する税金で課税対象利益を基礎とする税金に該当しないものの額を税額控除の対象となる税額と対象とならない税額とに区分し、それぞれ以下の取扱いとすることとしています。

〇税額控除の対象となる税額
(1) 税額控除を選択する場合、損益計算書の「法人税等」に含めて表示する。
(2) 税額控除を選択しない場合、損益計算書の「法人税等」に含めず、その内容に応じた適切な表示区分に表示する。
〇税額控除の対象とならない税額
損益計算書の「法人税等」に含めず、その内容に応じた適切な表示区分に表示する。

またこれらにかかわらず、外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける外国子会社から受ける配当に係る外国源泉所得税の額は、「法人税等」に含めて表示するとされています。

5.他の会計基準の修正

改正基準の公表に合わせ、以下の会計基準等についても改正が公表されています。

  • 改正企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」
  • 改正実務対応報告第42号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に 関する取扱い」
  • 改正移管指針第6号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関 する実務指針」
  • 企業会計基準第43号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正(その3)」
  • 企業会計基準第44号「『連結キャッシュ・フロー計算書等の作成基準』の一部改正 (その4)」

3.適用時期及び経過措置

適用時期

本改正基準等は、2028年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとされています。
また、早期適用への一定のニーズがあると考えられることから、公表日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首からの早期適用も認められています。

経過措置

本改正基準等の適用初年度において、本会計基準等を適用することによりこれまでの会計処理と異なることとなる場合、適用初年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の適用初年度の累積的影響額を適用初年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首から新たな会計方針を適用することができるとされています。

また適用初年度の比較情報について、企業会計基準第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」第14項の定めにかかわらず、新たな表示方法に従い組替えを行うことを要しないこととされています。

4.参考資料

詳細は、以下をご参照ください。
https://www.asb-j.jp/jp/accounting_standards/y2026/2026-0707.html [1]


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