改正「修正国際基準」の公表について

1.はじめに

2017年4月11日に、改正「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」(以下、「修正国際基準」)が企業会計基準委員会(以下、「ASBJ」)より公表されました。

以前にASBJは、2013年12月31日までに国際会計基準審議会(以下、「IASB」)により公表された会計基準及び解釈指針(以下、会計基準及び解釈指針を合わせて「会計基準等」という)についてエンドースメント手続を実施した修正国際基準を公表していました。

今回は、2014年1月1日から2016年9月30日までに IASB により公表された会計基準等のうち、2017年12月31日までに発効するものをエンドースメント手続の対象として検討を行い、2017年4 月10 日に開催した第358回企業会計基準委員会において承認されたものを改正「修正国際基準」として公表したものです。

2.エンドースメント手続とは

エンドースメント手続は IASB により公表された会計基準等について、我が国で受け入れ可能か否かを判断したうえで、必要に応じて、一部の会計基準等について「削除又は修正」し、金融庁において指定する仕組みです。

エンドースメント手続を行ううえでは、「削除又は修正」を必要最小限とすること、すなわち、可能な限り受け入れることとしたうえで、十分な検討を尽くし、我が国における会計基準に係る基本的な考え方及び実務上の困難さの観点からなお受け入れ難いとの結論に達したもののみを「削除又は修正」することしています。
また今回のエンドースメント手続の実施にあたっては、前回と同様に、任意適用を前提としたうえで、公益及び投資者保護の観点から、次の点を勘案することとしています。

◆会計基準に係る基本的な考え方
◆実務上の困難さ(作成コストが便益に見合わない等)
◆周辺制度との関連(各種業規制などに関連して適用が困難又は多大なコストを要することがないか)

3.今回のエンドースメント手続の対象

今回のエンドースメント手続は、2014年1月1日から2016年9月30日までにIASBにより公表された会計基準等のうち、2017年12月31日までに発効するものを対象としています。具体的に対象とした会計基準等は次のとおりです。

(1) IFRS第14号「規制繰延勘定」
(2)「共同支配事業に対する持分の取得の会計処理」(IFRS第11号の修正)
(3)「許容可能な減価償却及び償却の方法の明確化」(IAS第16号及びIAS第38号の修正)
(4)「農業:果実生成型植物」(IAS第16号及びIAS第41号の修正)
(5)「個別財務諸表における持分法」(IAS第27号の修正)
(6)「IFRSの年次改善2012-2014年サイクル」
(7)「開示に関する取組み」(IAS第1号の修正)
(8)「投資企業:連結の例外の適用」(IFRS第10号、IFRS第12号及びIAS第28号の修正)
(9)「未実現損失に係る繰延税金資産の認識」(IAS第12号の修正)
(10)「開示に関する取組み」(IAS第7号の修正)

なお、2016年9月公表の「IFRS第9号「金融商品」のIFRS第4号「保険契約」との適用(IFRS第4号の修正)」は、2017年12月31日までに発効する場合がありますが、例外的と考えられるため、今回のエンドースメント手続の対象には含められていません。

4.今回のエンドースメント手続の検討結果

「削除又は修正」を行うべき項目なし

検討の結果、上記の会計基準等は、主に、当面の暫定措置を定めるものや要求事項の明確化を行うものであり、「削除又は修正」の要否について追加の検討が必要な項目はないと判断され、「削除又は修正」を行うべき項目はないと結論づけられました。

関連する実務対応報告の改正

今回の改正「修正国際基準」の公表を受け、以下の実務対応報告の改正も公表されました。

・実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社等の会計処理に関する当面の取扱い」
・実務対応報告第24号「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い」

実務対応報告の改正について、詳細は以下をご覧ください。
https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/practical_solution/y2017/2017-0329.html

5.適用時期

本改正基準は、公表日以後開始する連結会計年度より適用されます。

6.参考資料

今回公表された改正「修正国際基準」の詳細は以下をご覧ください。
https://www.asb.or.jp/jp/accounting_standards/jmis/y2017/2017-0411.html

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